リスケジュールはゴールではない。405事業を活用して「強い財務体質」と「社会的信用」を取り戻す道筋【第3回(最終回)】

「銀行から合意をもらえた!」 「これで来月から返済額が減って、資金繰りが楽になる…」

405事業を活用し、専門家と共に作り上げた経営改善計画が金融機関に認められた瞬間、多くの経営者様は安堵の息を漏らします。倒産の危機から脱し、ひとまず資金ショートの恐怖から解放されるのですから、当然のことです。

しかし、あえて厳しいことを申し上げます。 リスケジュール(返済猶予)の成立は「ゴール」ではなく、「スタートライン」に過ぎません。

止血処置(リスケ)をしている間に、病巣(赤字体質)を手術して完治させなければ、猶予期間が終わった後にまた同じ苦しみが待っています。

本連載の最終回となる今回は、405事業の真価である「計画実行後のモニタリング(伴走支援)」と、そこから目指すべき「完全復活へのロードマップ」について解説します。

1. 猶予期間は「ボーナスタイム」ではない

リスケジュールによって元金の返済が止まっても、借金自体が減ったわけではありません。あくまで「待ってもらっているだけ」です。 この期間を「資金が楽になった」と安心して漫然と過ごしてしまうと、数年後に待っているのは破綻です。

この猶予期間は、本来返済に回すべき現金を、「事業を立て直すための投資」や「内部留保」に回すための貴重な時間です。 不採算事業の整理、コスト削減、営業強化などのアクションプランを断行し、「本業で現金を稼ぐ力(キャッシュフロー)」を取り戻さなければなりません。

2. 405事業の真価は「3年間のモニタリング」にある

「そうは言っても、日々の業務に追われていると、つい計画の実行が後回しになってしまう…」 これが人間心理であり、経営の難しさです。

そこで、405事業には強制的にPDCAを回す仕組みが組み込まれています。それが「モニタリング(伴走支援)」です。

計画策定後、原則として3年間、認定支援機関(専門家)が定期的に会社の状況をチェックし、金融機関へ報告を行います。 実は、このモニタリング費用についても、計画策定時と同様に費用の「3分の2」を国が補助してくれます。

モニタリングで行うこと

  1. 予実管理:計画の数字と、実際の実績(試算表)を比較し、ズレの原因を分析します。
  2. 銀行報告:年に1回(状況によっては四半期ごと)、全金融機関に対して「計画通り進んでいるか」を文書で報告します。

専門家という「お目付役」がいることで、経営に良い意味での緊張感が生まれ、計画の実行力が格段に高まります。

3. もし計画通りにいかなかったら?(ローリング)

「3年もあれば、予期せぬ事態で計画未達になることもあるだろう。そうなったら銀行に怒られるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。

ビジネスに絶対はありません。計画通りにいかないことは当然あります。 重要なのは、「悪くなった時に、すぐに報告・相談するかどうか」です。

405事業のモニタリング期間中であれば、専門家と一緒に「なぜ未達なのか」を分析し、実現可能な計画に修正する「計画の練り直し(ローリング)」を行うことができます。

銀行が最も嫌うのは「隠蔽」や「事後報告」です。 「状況が変わりましたが、このように対策を修正します」とタイムリーに開示することで、逆に「管理能力がある」と評価され、信頼関係が崩れることを防げます。

4. 苦難を乗り越えた先にある「3つの果実」

405事業を活用し、3年間のモニタリング期間を完走した企業には、単なる「借金返済」以上の大きな成果が待っています。

① 「正常先」への格付けアップとニューマネー

計画通りに業績が改善すれば、銀行からの格付けが「要注意先」などから「正常先」へと戻ります。 正常先に戻れば、リスケジュールを卒業して通常の返済に戻れるだけでなく、事業拡大のための新規融資を受けられる可能性が開けます。

② 経営者保証の解除

近年、国は「経営者保証ガイドライン」の活用を推進しています。 405事業を通じて「財務の透明性」を高め、「黒字化」を達成できた企業は、社長個人が会社の借金を背負う「連帯保証の解除」を交渉できる可能性が高まります。これは経営者にとって、精神的に非常に大きな解放となります。

③ 「強い財務体質」への変革

何よりの財産は、会社が変わることです。 「どんぶり勘定」だった会社が、専門家の指導によって「毎月試算表を見て、数字で判断する会社」に生まれ変わります。この「財務リテラシーの向上」こそが、二度と危機に陥らないための最強の武器となります。

まとめ:ピンチをチャンスに変える決断を

全3回にわたり、国の支援制度「405事業」について解説してきました。

  1. 銀行は口頭の約束ではなく、「プロと作った根拠ある計画」なら支援してくれる。
  2. 国の制度を使えば、費用の「3分の2」が補助され、コストを抑えて一流の支援が受けられる。
  3. 3年間の伴走支援を通じて、会社は「稼げる体質」「社会的信用」を取り戻せる。

今、資金繰りに苦しんでいるとしても、諦める必要はありません。国も、銀行も、そして私たち専門家も、あなたの会社が再生することを望んでいます。

必要なのは、経営者であるあなたの「変わりたい」という決意と、専門家に相談する少しの勇気だけです。 手遅れになる前に、再生への第一歩を踏み出しましょう。


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